Secret Port3 ~シークレットポート~ | Secret Port ~むつむらの小説~

Secret Port3 ~シークレットポート~

4人が急いでSecret Portへ戻ってきた。

戻る途中、湊に呼びかけてはみたが返事は帰ってこない。

ちなみに部屋への指紋認証は湊だけでなく、メンバー個々人が行うことができる。

「日葵さん!湊が今どこにいるかわかった?」

息を切らしながら亮が日葵に呼びかける。

「場所はわかったんだけど、なんでそこにいるのかわからないの。コンタクトからくる映像も真っ黒だし。」

「日葵さん、映像が暗くなる前って見られる?」

「ちょっと待ってて。」

日葵がすごい速さでキーボードに文字を打っていく。もちろん4人もそれなりにはプログラミングもできるが、それでも日葵の足元にも及ばない。

1分経たずにその映像にたどり着いた。

湊のコンタクトレンズの映像には不審な人が映っていた。湊の少し前で黒の大きい車が止まった。運転席の窓が開くと窓から地図を広げてみせている。どうやら道を聞いているらしい。湊が運転席に近づいて行ったところで、コンタクトの上部つまり湊の頭上から何かかぶせられる。

その後の何が起こったかは映像からは確認できない。

この時とみんなのイヤホンから何かが落下する音が聞こえたタイミングがほぼ一致していることが分かった。

「つまり、湊は車から声を掛けられて、それに応えようとしたときに何かをかぶせられ経ってこと?」

彩羽が映像から得られた情報をみんなに確認する。

「イヤホンから聞こえたあの落下音は湊のイヤホンが落ちた時ってことだよね。」

有紗は情報を付け加える。

「これって誘拐じゃね?」

颯がみんなの考えを口にした。

4人とも静かな様子だ。淡々と発言したがまだ現実を受け止め切れていない。少しずつ今起きている現状を受け止め始め、それがパニックに変わっていく。

そんな中4人を冷静な様子に引き戻したのは、絶え間なく聞こえるキーボードの入力音だった。

ここにいる誰よりも早く何が起きているかを受け止め、今の自分ができる最善の手を考え、行動する。日葵がそうできたのは弟を誘拐されたことによる怒りと弟への信頼だった。

一刻も早く弟を救出するために入力していたキーボードのENTERキーを押したとき、部屋のスピーカーからノイズの後に誰かの声が聞こえ始めた。

「次はどうするの?」

女の声が聞こえる。

「そいつの親に連絡しろ。俺が話す」

今度は男の声だ。電波が悪いのかあまりよくは聞こえない。

この音声は湊が持っているキーホルダーから送られている。先ほど湊の場所を突き止められたのもこのキーホルダーのおかげだ。

もちろんこれも日葵が作ったものだ。このキーホルダーにはGPS機能がついている。ほかに盗聴器を改造して作ったヒアリングの機能もついている。

ちなみにこのキーホルダーは湊だけではなくほかの4人+日葵も持っている。もちろんただのメンバーの証として持っていただけで、このような事態を想定して作られた訳でも、持っていた訳ではもない。

GPSのほうは常時ONされていてその気になればいつでも場所の確認ができるが、ヒアリングのほうはキーホルダーの持ち主がONにしなければ音声を受信することはできない。

つまりあの状況の中、湊はスイッチをONにしていたということになる。日葵もそれを信じて、行動した。その結果がこの音声だ。

プルルルルル、電話のコール音が聞こえる。そして相手が出たのか話し始めた。変声機で声が変わっている。

「お前の息子は預かった。返してほしければ、おまえの夫が今までしてきたことをすべて世間に公表しろ。タイムリミットは今から1時間30分それまでに公表しなければどうなるかわかっているな」

誘拐犯がこの電話をしている最中、日葵は自分の母に電話をしていた。

しかし聞こえてくるのは話し中の案内だけ。日葵はあきらめて次の手を考え始めた。

次の話

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