Secret Port15 ~シークレットポート~ | Secret Port ~むつむらの小説~

Secret Port15 ~シークレットポート~

そのころ中にいる湊は自分が思っていた通りの作戦であることに確信を強めながら、女が声のするドアのほうにいく様子だけはわかっていたが、夕日で姿ははっきりとは見えないでいた。

『肉眼でこの見え方だと送信されている映像はほとんど見えないだろうな』

と湊は思ったが、その通りだった。
颯  「おい、亮そっちでは見えてる?」

亮  「見えてないから、たぶん見え方は一緒。影の距離間でタイミングはわかるよ。あとは音に注意して。」

颯が親指と人差し指で丸を作った。

女の足跡が少しずつ近づいてくる。

颯がドアの右側に移る。

1歩1歩足音が大きくなってくる。

2人が息をのむ。

今まで以上に時の流れが遅い。

足音が消えた。

おそらくドアの前にいるのだろう。

壁1枚を隔てて向こう側に犯人の1人がいる。

チャンスは1回。

女がドアを開けた。

まだ拘束するには早い。

完全にドアの外に出てきてからでないと、中に戻られてしまう可能性がある。

女の角度からでは2人の姿は見えない。

 
女  「ちょっとー?なんでいないの?」

 
女が外をのぞくために2歩外に出てきた。

 
その瞬間颯が頭の上から袋をかぶせ、亮はドアを閉める。

 

突然の出来事に女は何が起きたのか全然呑み込めていない。

 

女の手を後ろで縛り、地面に座らせる。手が拘束されていると意外と人は立てない。

 

そしてさらに追い打ちをかける。

 
颯  「そこから動くな。しゃべるな。」

 
颯が低い声で脅しをかける。

 
颯  「おい亮こいつどうする?」

 
亮  「山にでも埋めに行こっか」

 
亮は柔らかい優しい声で言う。

 

その声には深みがあって、とても中学生が出せるような声ではない。女は震え始めた。

 
亮  「なーんてね。そんな時間がないからその辺の木にでも括り付けておけばいいよ」

 
いつものこととはいえ普通にこのようなことを言える亮に颯は少し怖さを感じた。

 

湊から送られてくる映像に集中を傾け、男が中にいることを確認する。

 

まだ男は動いていない様子だった。

 

おそらく陽の光のせいでドアの奥で何が行われたのか見えていなかったのであろう。

 

亮たちを苦しめた陽の光がここでは亮たちに味方した。

 

男が動かないことを確認した2人は女を木に括り付けた。

そしてまたドアのほうへ戻る。

長い時間女が戻ってこなければ、しびれを切らしてこちらにくるはずだ。

そのタイミングで湊を助け出す手筈になっている。

 
『まったく今日は時間が流れるのが遅いな』と思いながら、男がこちらに来るのを待つ2人だった。

  • mutsumura
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