Secret Port27~それぞれの胸に~ | Secret Port ~むつむらの小説~

Secret Port27~それぞれの胸に~

30分後六角公園に5人と健太が集合した。

健太 「随分と早いんだね。僕は何をすればいいの?」

湊  「猪飼紗良って知ってる?」

健太 「女優さんでしょ?」

湊  「その人に相談したら、みんなで見てってビデオメッセージをもらったから見よう」

健太 「えっ?猪飼紗良さんとやり取りできるの?うわーすごいなぁ。どうやって知り合ったの?」

『誘拐』なんていえない湊は言葉を濁した。

湊  「前にちょっとあってね」

そういってメッセージの再生ボタンをクリックした。

「うーん?これで撮れてるのかな?聞こえてる?うん。大丈夫そう。よし始めよう。」

紗良がビデオの確認をしている。うまく撮れていそうなことを確認し、話し始めた。

「湊くん、颯くん、亮くん、有紗ちゃん、彩羽ちゃん久しぶり!元気ですか?

健太くん初めまして猪飼紗良です。

今回は湊くんから健太くんの悩みを聞いて、力になりたいと思ってこのビデオを撮っています。

健太くんの悩みは自分に自信がないから話しかけられないということだったと思います。

私は健太くんのことは詳しくは知らないので、健太くんの自信のなさがどこから来るものなのかわかりません。

勉強についてなのか、運動についてなのか、見た目についてなのか、それとも別の何かなのか。

だから、少し私の話をしたいと思います。

私は中学生の時に数学がどうしてもできなかったの。

でも数学が解けるようになりたかったから、たくさん勉強した。

先生に聞いたり、自分でいろいろな問題を解いてみたり。でもねどんなに勉強しても点数は上がらなかった。

友達にもそんなに勉強してるのに点数が上がらないねって言われた。

ショックだったな。

その時は私はどんなに頑張ってもできないのかって自信がなくなったわ。

気づいたら半分泣いた状態で先生に相談してた。

そしたらね、先生がこう言ってくれたの

 「紗良ちゃんが頑張って取った30点と頑張らないでも取れちゃった30点。

 確かに点数で見ると同じだよね。でも30点の中身も同じなのかな?

 人って目に見えるものにすごく敏感な生き物なの。

 だから見た目を気にするし、テストだったら点数っていうすぐわかるものに目がいく。

 だけど目に見えないものも同じくらい大切で、今回のテストのために紗良ちゃんが頑張ったっていう事実は絶対になくならない。

 ゲームと違って自分の経験値やレベルが数値で見えたりしないから不安になると思う。

 それでも紗良ちゃんが頑張ったっていう経験は紗良ちゃんの中に確かにあって、それがいつか役に立つときがくると思う。

 だから次のテストに向けて、ううん、テストだけじゃない。

 これから紗良ちゃんが何かに向けて頑張るのも頑張らないのも紗良ちゃんの自由。

 もちろん結果が出ればいいけど、結果が出ないときもある。

 だけど紗良ちゃんが頑張ったことはずっと紗良ちゃんの中に残り続けるわ」

って。

すごく励まされた。

だから健太くんにも同じ言葉を伝えます。

たぶん健太くんが自信が持てない理由は目に見えるものだと思う。

中学生の多感な時期で必要以上に周りからの目が気になったりもする。

でも必要以上に劣等感を感じる必要はない。

負けて悔しい。だから頑張ろうって力に変えられるくらいの気持ちだけ持って進もう。

健太くんは人より友達のことを考えて、友達のために行動できる人。

自分では見えないかもしれない。でも誰かが必ず見てくれている。

亮くんが見ていたように。

女の子もそんな健太くんにだからノートを貸してくれたのかもしれない。

だから健太くんもいつも通り、友達のことを考えて行動すればいい。

少しだけ勇気を出して頑張って!応援してるよ」

湊が紗良からのメッセージを見終え、ふと健太のほうを見てみると健太のほほには一筋の涙が流れていた。

健太はそのことを悟られないようにしながら言った。

健太 「ありがとう。頑張ってみるよ。紗良さんにもありがとうございましたって言っておいて」

そういって健太は六角公園を後にした。

5人は誰も話すことなく、メッセージを心の奥にしまいSecret Portへ帰っていった。

後日、健太は無事にノートを返し、感謝を伝えた。

  • mutsumura
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